SC06:2025 - チェックされていない外部呼び出し (Unchecked External Calls)
説明:
チェックされていない外部呼び出しとは、コントラクトが別のコントラクトやアドレスへの外部呼び出しを、その呼び出しの結果を適切にチェックせずに行うセキュリティ上の欠陥を指します。Ethereum では、コントラクトが別のコントラクトを呼び出すと、呼び出されたコントラクトは例外をスローせずにサイレントに失敗する可能性があります。呼び出し元のコントラクトが戻り値をチェックしない場合、呼び出しが成功していなくても、呼び出しが成功したと誤って判断するかもしれません。これにより、コントラクトの状態に不整合が生じ、攻撃者が悪用できる脆弱性が発生する可能性があります。
事例 (脆弱なコントラクト):
// SPDX-License-Identifier: MIT
pragma solidity ^0.8.0;
contract Solidity_UncheckedExternalCall {
address public owner;
constructor() {
owner = msg.sender;
}
function forward(address callee, bytes memory _data) public {
callee.delegatecall(_data);
}
}
影響:
チェックされていない外部呼び出しにより、トランザクションが失敗し、意図された操作が正しく完了しない可能性があります。送金が成功したという誤った判断の下でコントラクトが進行するため、資金の損失につながる可能性があります。さらに、コントラクトの状態が不正確になり、コントラクトがさらなる悪用に脆弱となったり、そのロジックに不整合が生じる可能性もあります。
対策:
transfer() は外部呼び出しが失敗した場合にトランザクションを元に戻すため、可能な限り send() ではなく transfer() を使用します。
send() や call() 関数の戻り値を常にチェックして、false を返した場合に適切な処理が行われるようにします。
事例 (修正バージョン):
// SPDX-License-Identifier: MIT
pragma solidity ^0.8.0;
contract Solidity_CheckedExternalCall {
address public owner;
constructor() {
owner = msg.sender;
}
function forward(address callee, bytes memory _data) public {
// Ensure that delegatecall succeeds
(bool success, ) = callee.delegatecall(_data);
require(success, "Delegatecall failed"); // Check the return value to handle failure
}
}
注意点
上記の二つのコントラクトはチェックされていない戻り値以外にも弱点を含みます。
認証は呼び出し先に委譲されます。呼び出されるコントラクトのコードは、たとえば
owner
と比較するなど、msg.sender
を制限する場合も、そうでない場合もあります。通常、関数forward
は何らかの認証を行う必要があります。callee
はユーザーが指定したアドレスです。これは、このコントラクトのコンテキスト内で任意のコードが実行され、たとえばowner
を変更する可能性があることを意味します。forward
は認証を行わないため、これは特に問題となります。アドレス
callee
がコントラクトであるかどうかはチェックされません。callee
はコードのないアドレスである場合、delegatecall
は成功するため、これは認識されません。通常、関数forward
は、呼び出されたコントラクトのコードサイズがゼロより大きいことを検証するなど、基本的なチェックを行う必要があります。
チェックされていない外部呼び出しの被害を受けたスマートコントラクトの事例:
Punk Protocol ハック : 包括的な ハック分析
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