M4: 不十分な入出力バリデーション (Insufficient Input/Output Validation)
脅威エージェント
アプリケーション依存
モバイルアプリケーションでユーザー入力やネットワークデータなどの外部ソースからのデータのバリデーションとサニタイゼーションが不十分である場合、重大なセキュリティ脆弱性をもたらす可能性があります。このようなデータを適切にバリデートおよびサニタイズできないモバイルアプリは SQL インジェクション、コマンドインジェクション、クロスサイトスクリプティング (XSS) 攻撃など、モバイル環境に特有の攻撃を通じて悪用されるリスクがあります。
これらの脆弱性は機密データへの認可されていないアクセス、アプリ機能の操作、モバイルシステム全体の潜在的な侵害など、有害な結果をもたらす可能性があります。
出力バリデーションが不十分であると、データ破損やデータ開示の脆弱性を引き起こし、悪意のあるアクターが悪意のあるコードを注入したり、ユーザーに表示される機密情報を操作する可能性があります。
攻撃手法
悪用難易度 困難
不十分な入出力バリデーションはアプリケーションを SQL インジェクション、XSS、コマンドインジェクション、パストラバーサルなどの重大な攻撃ベクトルにさらします。これらの脆弱性は認可されていないアクセス、データ操作、コード実行、バックエンドシステム全体の侵害につながる可能性があります。
セキュリティ上の弱点
普及度 普通
検出難易度 容易
不十分な入出力バリデーションの脆弱性は、アプリケーションがユーザー入力の適切なチェックとサニタイズ、または出力データの適切なバリデートとサニタイズすることに失敗する場合に発生します。この脆弱性は以下の方法で悪用される可能性があります。
不十分な入力バリデーション: ユーザー入力が十分にチェックされていない場合、攻撃者は予期しないデータや悪意のあるデータを入力して、入力を操作できる可能性があります。これにより、セキュリティ対策をバイパスして、コード実行脆弱性や認可されていないシステムアクセスにつながる可能性があります。
不十分な出力バリデーション: 出力データが適切にバリデートおよびサニタイズされていない場合、攻撃者はユーザーのブラウザで実行される悪意のあるスクリプトを注入する可能性があります。これによりクロスサイトスクリプティング (XSS) 攻撃、データ窃取、セッションハイジャック、表示されたコンテンツの操作につながる可能性があります。
コンテキストバリデーションの欠如: 特定のコンテキストや期待されるデータ形式を考慮しないと、SQL インジェクションやフォーマット文字列脆弱性などの脆弱性が発生する可能性があります。これらはバリデートされていないユーザー入力がデータベースクエリに直接組み込まれたり、フォーマット文字列関数で不適切に処理される場合に発生し、攻撃者はクエリを操作したり、任意のコードを実行できるようになります。
データ完全性のバリデートの失敗: データ完全性をバリデートしないと、アプリケーションはデータ破損や不正処理に脆弱になります。攻撃者は重要なシステム変数を改竄したり、アプリケーションの機能を妨害する不正なデータを持ち込むことができます。
このような脆弱性は多くの場合、アプリケーションロジックのエラー、バリデーションチェックの不完全な実装、セキュリティ意識の欠如、不十分なテストとコードレビュープラクティスから発生します。
技術的影響
影響度 深刻
不十分な入出力バリデーションの脆弱性は影響を受けるアプリケーションにいくつかの技術的影響を与える可能性があります。
コード実行: 悪意のあるアクターはこの脆弱性を悪用し、セキュリティ対策をバイパスして、アプリケーションの環境内で認可されていないコードを実行できます。
データ侵害: 不十分なバリデーションにより、攻撃者は入力を操作でき、機密データの認可されていないアクセスや抽出につながる可能性があります。
システム侵害: 攻撃者は基盤となるシステムへの認可されていないアクセスを獲得し、システムを侵害して制御を奪う可能性があります。
アプリケーション障害: 悪意のある入力は障害、クラッシュ、データ破損を引き起こし、アプリケーションの信頼性と機能性に影響を与える可能性があります。
風評被害: この脆弱性の悪用に成功すると、データ侵害や顧客の信頼の喪失により風評被害が発生する可能性があります。
法的およびコンプライアンス上の問題: 不適切なバリデーションは法的責任、規制上の罰則、データ保護規制の不遵守につながる可能性があります。
ビジネスへの影響
影響度 深刻
不十分な入出力バリデーションの脆弱性は技術的にもビジネス的にも重大な影響を及ぼします。アプリケーションの観点から、以下のような影響があります。
コード実行: 攻撃者はこの脆弱性を悪用して認可されていないコードを実行し、システム侵害や認可されていないアクセスにつながる可能性があります。
データ侵害: 不十分なバリデーションにより、攻撃者は入力を操作することが可能になり、機密情報へのデータ侵害や認可されていないアクセスにつながる可能性があります。
システム障害: この脆弱性を悪用すると、アプリケーションクラッシュ、不安定性、データ破損が発生し、サービス障害や運用の非効率化につながる可能性があります。
データ完全性問題: 不十分なバリデーションはデータ破損、不正処理、不正確な出力を引き起こし、システムの信頼性と完全性が損なわれる可能性があります。
ビジネスの面では、以下のような影響があります。
風評被害: この脆弱性の悪用に成功すると、データ侵害、システム障害、顧客の不信感を招き、組織の評判やブランドイメージが損なわれる可能性があります。
法的およびコンプライアンス上の影響: 不十分なバリデーションによるデータ保護規制の不遵守は法的責任、規制上の罰則、潜在的な経済的損失につながる可能性があります。
経済的影響: この脆弱性に起因するデータ侵害やシステム障害はインシデント対応、修復コスト、訴訟費用、潜在的な収益の損失による経済的損失をもたらす可能性があります。
「不十分な入出力バリデーション」の脆弱性があるか?
アプリケーションは以下により不十分な入出力バリデーションに脆弱になる可能性があります。
入力バリデーションの欠如: ユーザー入力を適切にバリデートしないと、アプリケーションを SQL インジェクション、コマンドインジェクション、XSS などのインジェクション攻撃にさらす可能性があります。
不適切な出力サニタイゼーション: 出力データの不十分なサニタイゼーションにより、XSS 脆弱性を生じ、攻撃者が悪意のあるスクリプトを注入して実行できる可能性があります。
コンテキスト固有のバリデーション欠如: データコンテキストに基づく固有のバリデーション要件を考慮しないと、ファイルへのパストラバーサル攻撃や認可されていないアクセスなどの脆弱性を生み出す可能性があります。
不十分なデータ完全性チェック: 適切なデータ完全性チェックを実行しないと、データ破損や認可されていない変更につながり、信頼性とセキュリティが損なわれる可能性があります。
不十分なセキュアコーディングプラクティス: パラメータ化クエリの使用やデータのエスケープやエンコードなどのセキュアコーディングプラクティスを行わないと、入出力バリデーションの脆弱性をもたらします。
「不十分な入出力バリデーション」を防ぐには?
「不十分な入出力バリデーション」脆弱性を防ぐには:
入力バリデーション:
厳密なバリデーション技法を使用してユーザー入力をバリデートおよびサニタイズします。
入力長制限を実装し、予期しないデータや悪意のあるデータを拒否します。
出力サニタイゼーション:
出力データを適切にサニタイズしてクロスサイトスクリプティング (XSS) 攻撃を防ぎます。
データを表示や転送する際に、出力エンコーディング技法を使用します。
コンテキスト固有バリデーション:
データコンテキスト (ファイルアップロード、データベースクエリなど) に基づいて固有のバリデーションを実行し、パストラバーサルやインジェクションなどの攻撃を防ぎます。
データ完全性チェック:
データ完全性チェックを実装して、データ破損や認可されていない変更を検出して防ぎます。
セキュアコーディングプラクティス:
パラメータ化クエリやプリペアドステートメントを使用するなどのセキュアコーディングプラクティスに従い、SQL インジェクションを防ぎます。
定期的なセキュリティテスト:
ペネトレーションテストやコードレビューなどのセキュリティ評価を定期的に実施し、脆弱性を特定して対処します。
攻撃シナリオの例
シナリオ #1 悪意のある入力によるリモートコード実行
攻撃者は適切な入力バリデーションとサニタイゼーションが欠如しているモバイルアプリケーションを特定します。予期しない文字を含む悪意のある入力を作成することで、攻撃者はアプリケーションの動作を悪用します。不十分なバリデーションにより、アプリケーションは入力を誤って処理し、脆弱性につながります。攻撃者は任意のコードの実行に成功し、デバイスのリソースや機密データへの認可されていないアクセスを獲得します。
シナリオ #2 不十分な出力バリデーションによるインジェクション攻撃
攻撃者は出力バリデーションとサニタイゼーションが不適切なモバイルアプリケーションを特定します。攻撃者はユーザーが生成したコンテンツや信頼できないデータが処理されるエントリポイントを悪用します。コードやスクリプト (HTML, Javascript, SQL など) を含む悪意のある入力を作成することで、攻撃者は出力バリデーションの欠如を利用します。ユーザー操作を通じて細工された入力を送信すると、アプリケーションは入力をバリデートやサニタイズに失敗し、注入されたコードや意図しない操作の実行を許してしまいます。攻撃者はクロスサイトスクリプティング (XSS) や SQL インジェクションなどのインジェクションベースの攻撃アプリケーションの完全性を侵害し、機密情報へのアクセスを獲得します。
シナリオ #3 不正な出力によるリモートコード実行
攻撃者はユーザーが提供したデータを処理して動的に出力を生成するモバイルアプリケーションを特定します。攻撃者はアプリケーションの不十分な出力バリデーションを悪用して、特別にフォーマットされたデータを作成します。攻撃者は直接操作を通じて、または公開された API を悪用して、不正なデータをアプリケーションに送信します。 アプリケーションは生成された出力を適切にバリデートやサニタイズできないため、攻撃者の細工したデータによってコードを実行したり意図しないアクションをトリガーする可能性があります。 この脆弱性を悪用すると、攻撃者はリモートコード実行を成し遂げ、モバイルデバイス、そのリソース、機密データの制御を獲得します。
参考資料
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